ボディビルの掛け声 一覧【意味つき】|「ナイスバルク!」など名物かけ声を解説
ボディビルの大会をテレビやYouTubeで観たことがある人なら、独特の 掛け声(かけ声) を耳にしたことがあるはず。「ナイスバルク!」「キレてる!キレてる!」。選手がポーズを取るたびに客席から飛ぶ、あの熱い声援です。一見すると意味不明ですが、一つひとつに褒めている中身があります。バルクは筋肉の量と厚み、キレてるは体脂肪を削って溝が出ている状態のこと。「肩にメロンのってる」のような大喜利まで含めて、飛んでいる声は筋肉の量・絞り・形の3つのどれかを指しています。審査員が見ている場所を、客席が自分たちの言葉に置き換えたものだと思えば、意味不明だった声援が急に読めるようになります。
- 「ナイスバルク」のバルクは筋肉の量と厚み、「キレてる」は体脂肪を削ってカット(溝)が出ている状態
- 「肩にメロンのってる」「背中に鬼が宿ってる」は部位の形を物にたとえた最上級の賛辞で、茶化しではない
- 飛ぶ声はバルク(量)・カット(絞り)・シェイプ(形)の3つに分かれ、ボディビルの審査で見られる観点とほぼ重なる
- 絞りきっていない選手に「キレてる」は噛み合わない。ステージの状態と軸を合わせると刺さる
そもそも「掛け声」ってなに?
ボディビル大会の掛け声とは、観客が選手に向けて送る応援・称賛の言葉です。審査中は基本的に静かになりがちですが、日本のボディビル大会では観客が思い思いの言葉で選手を盛り上げる文化が根づいていて、名物になっています。
役割はおもに3つ。
- 極限まで絞った体でポーズを取り続ける選手を鼓舞する
- 緊張感のある審査を、温かく熱いムードに変える
- 鍛え上げた部位をユーモアたっぷりに褒め、努力を言葉にして称える
掛け声はいつから?1950年代の歓声からJBBFの辞典まで
この文化はSNSやYouTubeで最近生まれたものだと思われがちですが、ルーツはもっと古いものです。日本のボディビルは1950年代に始まり、大会の当初から観客の「応援」として声援は飛んでいました。ただし最初はシンプルで、選手の名前を叫んだり、歓声を上げたりする程度だったといわれます。それが時代とともに独自性を増し、部位を身近なものにたとえてユーモラスに称える、いまのスタイルへと進化してきました。
面白いのは、この掛け声が単なる観客の悪ノリではなく、文化として公式に認められていることです。競技を統括する公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)は、実際に『ボディビルのかけ声辞典』という書籍を刊行しています。連盟みずからが掛け声を一つの文化として編纂しているわけで、「悪ふざけ」ではなく「選手を称えるれっきとした応援文化」であることが伝わってきます。近年はテレビやSNSでのバズをきっかけに、競技を知らない人にも一気に広まりました。
王道の掛け声5つ|「ナイスバルク」「キレてる」の意味
まずは定番。意味が分かると「なるほど」と膝を打ちます。
- 「ナイスバルク!」のバルクは筋肉の量・厚みのこと。「デカくて立派だ!」という称賛です
- 「キレてる!キレてる!」は、体脂肪を削ぎ落として筋肉のカット(溝)がくっきり出ている状態を指します
- 「仕上がってるね!」は、減量・調整が完璧に決まっているという意味
- 「重量級!」は圧倒的な筋肉量への賛辞になります
- 「ナイスカット!」は筋肉の切れ込みが美しいときに飛びます
面白い掛け声8つ|「肩にメロンのってる」は何を褒めているのか
ここからが真骨頂。思わず笑ってしまう、でも最上級の褒め言葉たちです。
- 「肩にメロンのってる!」は、三角筋(肩)がメロンのように丸く発達しているということ
- 「腹筋6LDK!」「腹筋が板チョコ!」は、どちらも腹筋がくっきり割れている状態を指します
- 「背中に鬼が宿ってる!」と言われたら、背中の筋肉が鬼の顔のように迫力たっぷりだという意味
- 「大胸筋が歩いてる!」は、胸板が厚く、まるで筋肉が主役に見えるほどだという称賛
- 「もう一人いる!」は筋肉が大きすぎて人が増えて見えることをさします
- 「筋肉が国宝!」「日本の宝!」まで来ると、もはや文化財級という評価
- 「血管がブラボー!」は絞りきって血管が浮き出ている(コンディションの良さ)ことを褒めています
- 「そのバルクは反則!」は規格外の筋肉量への最大級の賛辞です
部位別の掛け声
褒めどころは部位ごとに変わります。狙って叫べると”通”です。
| 部位 | 掛け声の例 | 何を称えている? |
|---|---|---|
| 肩 | 肩にメロン/アルプス山脈! | 三角筋の丸み・大きさ |
| 背中 | 背中に鬼/クリスマスツリー! | 広さ、脊柱起立筋の形 |
| 胸 | 大胸筋が歩いてる! | 胸板の厚み |
| 腹 | 腹筋6LDK/板チョコ! | 腹筋の割れ具合 |
| 脚 | 電柱みたい/脚が仕上がってる! | 太もも・カットの完成度 |
※「クリスマスツリー」は、背中の脊柱起立筋が絞られて木のような模様に見える状態のこと。かなりの仕上がりでないと現れない、称賛度の高い掛け声です。
ここまでで、飛んでいる声が何を褒めているのかはひととおり読めるようになります。次に出てくるのが、では審査員はどこを見ているのかという疑問です。「ボディビル大会の見方・楽しみ方入門」に、審査で見られている4要素(筋肉量・シンメトリー・仕上がり・見せ方)と、正面・横・背面のどれを見せているかで審査点がどう変わるかが出ています。規定ポーズ1種ずつの中身は「ボディビル規定ポーズ7種を図解」の担当です。減点方式ではなく選手を並べた相対比較で順位が決まる、という仕組みが分かると観戦はもっと面白くなります。
掛け声は、審査で見られている3つの軸をなぞっている
並べてみると気づくのですが、掛け声はでたらめに飛んでいるわけではありません。称えている中身は、だいたい3つに分かれます。
| 軸 | 何を褒めているか | 代表的な掛け声 |
|---|---|---|
| バルク(量) | 筋肉の大きさ・厚み | ナイスバルク/重量級/もう一人いる |
| カット(絞り) | 体脂肪を削って溝や血管が出ている状態 | キレてる/ナイスカット/血管がブラボー |
| シェイプ(形) | 部位の形と全体の均整 | 肩にメロン/背中に鬼/クリスマスツリー |
ボディビルの審査でも、筋肉量・仕上がり(ディフィニション)・均整のとれたバランスといった観点で選手が比べられるとされています。つまり観客の掛け声は、審査員が見ている場所を素人なりの言葉で言い換えたものだということです。
この3つを頭に入れておくと、初めてでも声を出す場所に迷いません。ステージに出てきた瞬間に圧を感じたらバルク系、絞りが際立っていたらカット系、ポーズを決めて形が浮き出たらシェイプ系。逆に、絞りきっていない選手に「キレてる」と飛ばすと、褒めているつもりでも噛み合いません。掛け声が「刺さる」かどうかは、この対応が合っているかで決まります。
掛け声は「規定ポーズ」に合わせるとハマる
実は掛け声、闇雲に叫ぶよりも規定ポーズのタイミングに合わせると一気に”通”っぽくなります。ボディビル大会では選手が7つの規定ポーズを順番にとり、ポーズごとに強調される部位が変わるからです。どのポーズで何が見えるかを知っておくと、掛け声のタイミングと部位選びに迷わなくなります。
| 規定ポーズ | よく見える部位 | 合わせやすい掛け声 |
|---|---|---|
| フロントダブルバイセップス | 力こぶ・肩・胸 | 肩にメロン/ナイスバルク! |
| フロントラットスプレッド | 胸〜背中の広がり | 大胸筋が歩いてる! |
| サイドチェスト | 胸板の厚み・腕 | ナイスカット/重量級! |
| バックダブルバイセップス | 背中の厚み・後ろ姿の力こぶ | 背中に鬼! |
| バックラットスプレッド | 広背筋の広がり | 背中が滑走路/クリスマスツリー! |
| サイドトライセップス | 二の腕(上腕三頭筋) | 二の腕が丸太! |
| アブドミナル&サイ | 腹筋・太もも | 腹筋6LDK! |
たとえば「背中に鬼」はフロントダブルバイセップスの瞬間には正直ピンと来ません。選手が背中を見せるバックダブルバイセップス/バックラットスプレッドのタイミングで叫んでこそ、選手にも会場にも刺さります。各ポーズが何を見せているのかは「ボディビルの規定ポーズ7種を図解」で1つずつ図解しているので、あわせて読むと掛け声を出すタイミングの解像度がぐっと上がります。
大喜利系の掛け声10連|最上級の褒め言葉として飛ぶ一言
掛け声の醍醐味は、なんといっても自由な発想で選手を称える”大喜利”。定番を超えて、その場のひらめきで飛び出す一言が会場を沸かせます。面白いけれど、根っこはすべて最上級の褒め言葉。ここが「けなす」との決定的な違いです。
- 「そのバルク、条例違反!」は、大きすぎて規格外だという賛辞
- 「大胸筋の上に家が建つ!」は、胸板が広くて平ら(=分厚い)なことを言っています
- 「僧帽筋にイヤホンが引っかかる!」となれば、首まわりの筋肉が盛り上がっている証拠
- 「背中が滑走路!」は広背筋の広さがすごいときの一言
- 「血管が高速道路!」は絞りきって血管がくっきり出ている状態
- 「筋肉が国宝、いや世界遺産!」まで来ると、もはや人類の財産あつかい
- 「腹筋で洗濯できる!」は割れた腹筋が洗濯板のようだ、という意味
- 「重量制限オーバー!」は筋肉量が乗りすぎだと茶目っ気たっぷりに褒めています
- 「そのポーズ、教科書に載る!」はお手本のような完成度への賛辞
- 「筋肉の暴力(最上級の褒め言葉)!」は圧倒的な迫力を表しています
コツは、具体的な部位を、身近なものに”たとえて”大きさや仕上がりを称えること。「肩にメロン」「背中に鬼」と同じ発想です。上手い大喜利掛け声は、選手にも観客にも愛されます。
掛け声のマナー|下ネタ・茶化しはNG、称賛が大前提
盛り上げる文化とはいえ、いくつかのマナーがあります。
- 称賛が大前提。ユーモア・大喜利は大歓迎だが、けなす・侮辱する・下ネタは絶対NG(“面白い褒め言葉”と”茶化し”は別物)
- 選手の集中やポーズの妨げにならないタイミングで
- 大きな声は歓迎だが、周囲の観客への配慮も忘れずに
要は「選手をリスペクトして全力で称える」。これが掛け声文化の根っこ。大喜利系も、その愛があるからこそ成立しています。
掛け声を自分のモチベーションに
面白いだけでなく、掛け声には「努力の成果を具体的に言葉にして称える」という良さがあります。これは自分のトレーニングにも応用できます。
- 鏡の前で「今日はキレてる!」と自分に声をかける
- 目標を「肩にメロン」「腹筋6LDK」のように具体的なイメージに置き換える
目標が具体的だと、モチベーションは続きやすくなります。楽しみながら鍛える。それがボディビル掛け声文化の一番の魅力かもしれません。
観に行くなら、観る部門と大会を先に決めておく
同じ声がどの部門でも通じるわけではありません。バルクを称える掛け声が成立するのはボディビルの舞台で、「メンズフィジークとは?」で扱っているとおり、あちらはボードショーツで上半身の逆三角形と見せ方を競い、大きすぎるとむしろ減点されます。観る部門が変われば褒めどころも変わるので、先に確かめておくと声の出しどころを外しません。
実際に会場で声を出してみたい人は、観に行ける大会を1つ決めるところからです。「日本ボディビル選手権2026」に、第72回の男子選手権と第44回の女子フィジーク選手権が2026年10月11日(日)に大阪・吹田のメイシアターで開かれることと、会場までのアクセスをまとめてあります。
まとめ
- ボディビルの掛け声は、観客が選手の努力を称える文化。一つひとつに意味がある
- 王道(ナイスバルク/キレてる)からユニーク(肩にメロン/腹筋6LDK)まで、褒めどころは部位ごと
- 基本はリスペクト。称賛が大前提のマナー
- 「成果を具体的に言葉にする」考え方は、自分のトレーニングのモチベにも使える
初めて会場に行くなら、自分から一声目を出す必要はありません。周りが出している掛け声に乗るだけで十分ですし、拍手のタイミングに合わせるだけでも伝わります。そのうえでどの大会を観に行くかとなると、いま日本の団体は入り組んでいます。「NPCJは今どこ?」に、FWJへの改称と2026年のZeniX分裂で今どこが何を開いているのか、団体ごとにドーピング検査と掛け持ちの扱いがどう違うのかが整理してあります。
次に大会を観るときは、ぜひ掛け声の意味を思い出してみてください。選手たちがどれだけの努力を積み重ねているかが、言葉の一つひとつから伝わってきます。
ご注意: 掛け声はどの会場でも自由に出せるわけではありません。競技中の声出しをどこまで認めるか、写真や動画の撮影が可能か、ステージにどこまで近づけるかは主催団体が決めていて、大会や会場によって扱いが違います。観に行く前に、その大会の観戦案内と当日のアナウンスを確認してください。また、特定の選手を下げる言葉や、体型・容姿をからかう言葉は掛け声ではありません。応援のつもりでも、選手と周りの観客には別のものとして届きます。ここで紹介した言い回しも、流行りや団体の雰囲気によって入れ替わります。