ベンチプレスのやり方|フォーム6手順と、脇45〜75度で肩を痛めないコツ

2026年7月14日 公開 / 2026年9月22日 更新
ベンチプレスの姿勢をとる人物の線画イラスト。胸・二の腕をボルト色で強調

ベンチプレスは、厚い胸板をつくる押す種目の王道。BIG3のひとつで、上半身の力の指標にもなります。ただフォームを間違えると胸に効かず、肩を痛めることも。肩を守れるかどうかは、脇の角度でほぼ決まります。肘を真横まで開くと 肩の関節に負担が集中するので、上から見て脇が45〜75度に収まる位置でバーを下ろします。あわせて肩甲骨を寄せて下げたまま固定し、すくませないこと。この2つを外さなければ、胸に効かないという悩みもだいたい同時に消えます。重量は初心者ならバーやごく軽い重さでフォームを固めてから、8〜12回×2〜3セットを目安に足していけば十分です。

結論
  • ベンチプレスは大胸筋・肩の前・二の腕(三頭)を鍛える押す種目
  • コツは「肩甲骨を寄せて下げる」「軽くアーチ」「足で踏ん張る」
  • 肘を開きすぎる・肩がすくむと肩を痛める
  • 一人のときは安全ラックかダンベルで。潰れ対策は必須

早見表(回数・頻度の目安)

まず、ベンチプレスの要点を先に押さえておきましょう。

項目目安
主に効く部位胸・肩の前・二の腕(三頭)
回数 × セット8〜12回 × 2〜3セット
頻度週2回程度(同じ部位は2〜3日空ける)
難易度初心者〜中級
道具バーベル+ベンチ/自宅はダンベル
つまずきやすい点肩がすくむ/手首が反る/一人で潰れる

ベンチプレスは何に効く?

ベンチプレスは、ベンチに仰向けになり、バーを胸まで下ろして押し上げる種目です。

ベンチプレス
ベンチプレスのフォームと、主に効く部位(胸(大胸筋)・肩の前・二の腕(上腕三頭筋))を示した図
効く部位 胸(大胸筋)肩の前二の腕(上腕三頭筋)

この種目で主に働くのは、次の筋肉です。

  • 大胸筋(胸)
  • 三角筋前部(肩の前)
  • 上腕三頭筋(二の腕の裏)

胸を大きく厚くしたい人の主役種目。重い重量を扱えるので、上半身全体のパワーアップにもつながります。

正しいフォーム

「ただ上げ下げする」だけでは胸に効きません。次を意識しましょう。

  1. 肩甲骨を寄せて下げる(背中で土台をつくる)
  2. 背中は軽くアーチ、お尻はベンチにつけたまま
  3. 足は床をしっかり踏ん張る(力が安定する)
  4. バーは肩幅よりやや広めに握る
  5. バーをみぞおち〜乳首の高さに下ろす(首や鎖骨ではない)
  6. 肘は開きすぎず、みぞおちに向けて弧を描くように押す

ポイントは「肩甲骨を寄せて下げ、胸を張る」こと。これで胸に効き、肩の負担も減ります。

【要注意】肩を痛めないために

ベンチプレスで肩を痛める人は、次に当てはまりがちです。

  • 肘を真横に開いて脇が90度になると、肩関節に負担が集中します。脇はやや締める(45〜75度)のが基本です。
  • 肩がすくんで肩甲骨が寄っていないと、胸でなく肩でバーを受けてしまいます。肩甲骨を寄せて下げましょう。
  • バーを首や鎖骨に下ろすのも肩に無理がかかります。下ろす位置はみぞおち寄りに。
  • 重すぎてフォームが崩れるのも典型です。扱える重量でフォームを固めるのが先です。

とくに「肘の開きすぎ」は肩を痛める代表格。脇を軽く締めるだけでかなり安全になります。

出典:Noteboom et al. (2024) Frontiers in Physiology 15:1393235 ベンチプレスの技術を21通りに変えて肩の関節にかかる力を計算した研究は、脇の角度を45度・70度・90度で比べています。結論は「とくにグリップ幅と肩甲骨の位置が、肩関節と肩鎖関節にかかる力の大きさと向きを大きく左右した」というもので、脇の角度そのものの影響はこの2つより小さいとされています。角度については、90度に近い大きな外転と広いグリップが肩峰下のすき間を狭めうるという解剖学上の想定を紹介する一方、肩峰下に痛みがある人については「45度という小さな外転角と1BAWの狭いグリップは避けたほうがよいかもしれない」とも書いています(2026年9月22日確認)。つまり45〜75度という幅は、どちらの端にも寄せすぎないための実用的な目安であって、この数字自体が公的機関の推奨値というわけではありません。角度を1度単位で気にするより、先に肩甲骨を寄せて下げること、グリップを広げすぎないことのほうが効きます。

重量の目安・セット

初心者はまずバーやごく軽い重量でフォーム習得から。フォームが安定したら8〜12回×2〜3セットを目安に少しずつ増やします。足す幅は、指定の回数を全セットきれいにこなせた次の回に左右1.25kgずつ(合計2.5kg)が扱いやすいところです。自重の腕立て伏せと違って、ここは重量そのものを数字で刻んで積み上げられるのが利点になります。

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート 「筋力トレーニングについて」は、成人および高齢者に筋トレを週2〜3日実施することを推奨しています。実施上の注意として、負荷をかけるとともに休息日を設けること、「漸進性過負荷の原則」に従って徐々に負荷を増やすこと、そして息をこらえないことを挙げています(2026年9月22日確認)。重い重量で歯を食いしばると息が止まりやすいので、上の早見表の「週2回」とあわせて、押し上げるときに息を吐く癖もつけておくと安全です。

「体重と同じ重量(体重1倍)」は多くの人にとって一つの中級目標ですが、焦らずフォーム優先で伸ばすのが結局いちばん速いです。自分の重さが未経験者の平均や大会の標準記録と比べてどこにいるかは「ベンチプレスは何キロからすごい?」で、体重比の早見表と全日本の階級別の線を並べて確かめられます。手首が反って痛む場合はリストラップで手首を固定すると安定します。

胸にしっかり効かせるコツ

「ベンチプレスをしても胸より腕や肩ばかり疲れる」という人は、効かせ方を見直すと変わります。ポイントは3つ。まず下ろすときに胸を張り、肩甲骨を寄せたままキープすること。肩が前に丸まると、力が胸から逃げます。次にバーを一気に下ろさず、コントロールしながら下ろすこと。下ろす動作(ネガティブ)でも胸は使われます。そして押すときに大胸筋で「バーを中央に寄せる」意識を持つこと。ただ真上に押すのではなく、胸の筋肉を絞るように押すと、格段に効きます。

伸び悩んだときは、重量を上げる前に「フォームを保てる範囲で1〜2回増やす」「セット数を足す」ほうが安全に前進できます。無理に重量だけ追うと、フォームが崩れて肩を痛めるだけで、かえって遠回りになります。

一人でやるとき・自宅での代替

ベンチプレスはバーの下敷きになる(潰れる)のが最大のリスク。一人で行うときは、安全バー(セーフティラック)付きで行うか、無理な重量を避けます。

自宅ならダンベルプレス。腕立てに落とすと狙いどころが入れ替わる

自宅ならダンベルプレスが安全で優秀。左右別々に動かすぶん可動域を広くとれ、胸によく効き、潰れる心配も少なめです。ダンベルも無いなら腕立て伏せで代替できますが、狙いどころは入れ替わります。ベンチプレスは重量を数字で足していく種目、腕立て伏せは自分の体重を角度とテンポで重くする種目で、後者の強度の上げ方は「腕立て伏せの正しいやり方」で順を追って書いています。

ダンベルベンチプレス
ダンベルベンチプレスのフォームと、主に効く部位(胸(大胸筋)・肩の前・二の腕)を示した図
効く部位 胸(大胸筋)肩の前二の腕

「100kgセット」でもバーに載るのは95kgまでのことが多い

自宅にバーベルを置く段階まで来たら、シャフトとプレートはバーベルセットでそろえるのが確実です。ここで注意したいのが、いわゆる「100kgセット」でもバーベルに載るのは95kgまで、という製品が多いこと。総重量にダンベルシャフトぶんが含まれているためで、100kgを目標にするなら一段上のセットが必要になります。

肘の張りが出たら、道具を足すより先に重量を落とす

重量が伸びてくると、脇の角度を保ったまま押し切れるかどうかで肘まわりの負担が変わってきます。押す種目を続けて肘の張りが気になる、寒い時期に肘が冷えて動きが硬い、といった段階まで来たら、肘を筒状に包んで保温と着圧を足すエルボースリーブという選択肢もあります(厚みと1枚あたりの価格で並べた「エルボースリーブおすすめランキング」)。ただしフォームの代わりにはならず、痛みが出ているときは重量を落とすほうが先です。

胸トレの全体像は「胸の筋トレ」が、腕立て→ダンベルベンチ→ダンベルフライと負荷の上げ方を段で示しつつ、「胸の内側」「上部」を狙えるのかという定番の疑問にも答えています。ダンベルでメニューを組むなら「ダンベルトレーニング中級」に、ベンチの角度を変えて部位を振り分けるやり方が入っています。BIG3のもう一方、体の後ろ側を引く種目は「デッドリフトのやり方」にまとめました。押すベンチプレスが肩を守る話なのに対し、引くデッドリフトは腰を守る話が中心になります。同じ押す動きでも、バーを真上へ運ぶと担当する筋肉が胸から肩へ移ります。ベンチが「胸のどこへ下ろすか」で効きを決める種目なのに対し、上へ押すショルダープレスは「顔の前をどう通すか」が最初の壁になるので、つまずく場所がそもそも違います(「ショルダープレスのやり方」)。

まとめ

  • ベンチプレスは胸・肩の前・二の腕を鍛える押す種目の王道
  • コツは「肩甲骨を寄せて下げる」「軽くアーチ」「足で踏ん張る」
  • 肘の開きすぎ・肩すくみが肩を痛める原因
  • 一人のときは安全バーかダンベルで潰れ対策を

一人で入る日は、重量を決めるより先に安全バーの高さを合わせてください。空のシャフトを一度胸まで下ろし、触れた位置より指1本ぶん低いところに置いておけば、上がらなくなっても体を抜けます。押している途中で肩の前に刺すような痛みが出る場合は高さの問題ではないので、「筋トレで肩が痛い」に、ベンチプレスで痛める原因と、受診を考える危険信号が入っています。

ご注意: 肩・手首・肘に痛みが出たら中止してください。バーベルは一人だと潰れる危険があるため、安全バーの使用や無理のない重量設定を徹底してください。肩に持病のある方は無理をせず、必要に応じて医師にご相談ください。効果や適切な重量には個人差があります。

よくある質問(FAQ)

ベンチプレスは何キロから始めればいい?
最初はバー(約20kg)やごく軽い重量でフォーム習得から。8〜12回をフォームを保って上げられる重さを選び、慣れたら少しずつ増やします。焦らずフォーム優先が結局いちばん速いです。
一人でやるのは危険ですか?
潰れると危険なので、セーフティーバーのあるラックを使うか、重量を控えめにします。自宅ならダンベルなら潰れる心配が少なく安全です。
胸に効かず腕ばかり疲れます。
肩甲骨を寄せて胸を張り、バーを乳頭のあたりに下ろすと胸に効きやすくなります。手幅が狭すぎると腕に、広すぎると肩に負担が寄ります。