デスクワーク中にできる運動12選|座ったまま・こっそりできる筋トレとストレッチ

2026年7月8日 公開 / 2026年9月22日 更新
デスクで座ったまま両腕を上げて伸びをする人のイラスト

在宅でもオフィスでも、気づけば何時間も座りっぱなし。実は長時間の座位は、肩こり・むくみ・腰痛・代謝の低下など、じわじわ体に効いてきます。とはいえ、仕事中にジムには行けません。効くのは大がかりな運動より、座り続ける時間を切ることのほうです。1時間に1回立ち上がる。まずこれだけで、血流と姿勢が一度リセットされます。そのうえで、首・肩・肩甲骨・体幹・お尻・ふくらはぎは、椅子に座ったまま周りに気づかれずに動かせます。ここから紹介する12個はどれも道具がいらず、今日の午後から始められるものです。

結論
  • 座りっぱなしはリスク。まず1時間に1回は立って動くだけでも効果的
  • 首・肩・肩甲骨・体幹・お尻・ふくらはぎを座ったままこっそり動かせる
  • 道具は不要。ただしチューブや足こぎペダルがあると”ながら”の質が上がる

なぜデスクワークに運動が必要?

長く座り続けると、脚の血流が滞ってむくみ、同じ姿勢で肩こり・腰痛、使わないお尻や太ももは衰え、消費エネルギーも落ちて代謝ダウン。といいことがありません。

見落とされがちなのは、これが「運動不足の話」とは別の問題だという点です。朝や夜にきちんと運動している人でも、日中に座り続けている時間そのものが体には効いてきます。だからこそ、公的なガイドでも運動の推奨とは別枠で、座りっぱなしへの注意が書かれています。

出典:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(厚生労働省) 同ガイドは成人について、歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)、筋力トレーニングを週2〜3日という推奨を示したうえで、それとは別の留意点として「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する」ことを挙げています(2026年9月22日確認)。数値は一律の達成目標ではなく、個人差に応じて調整するものとして示されています。

座りすぎが体の中で何を起こしているのか、研究で何が言われているのかは「座りすぎは第二の喫煙?」にまとめました。あちらがリスクを知って「区切る」動機をつくる記事なのに対し、この記事は仕事中に実際にやる種目を並べる実行側です。まずは「1時間に1回立つ」から始めましょう。

座りながらできる筋トレ7種|首・肩甲骨・体幹・お尻・ふくらはぎ

座ってできる筋トレのうち、デスクに座ったままで、まわりに気づかれずに済むものを部位別に並べます。

  • ① 首まわし・肩すくめは、肩をグッとすくめてストンと落とすだけ。首まわりの緊張がほぐれる
  • ② 肩甲骨よせは、胸を張って左右の肩甲骨を寄せる動き。巻き肩・猫背の対策になる(→猫背・巻き肩を直す筋トレ)
  • ③ ドローインはお腹を薄くへこませて30秒キープ。座ったままできる体幹トレ
  • ④ お尻キュッは、左右のお尻を交互に、または両方まとめてキュッと締める。ヒップの活性化に効く
  • ⑤ レッグエクステンションは片脚をまっすぐ伸ばして数秒キープ。太もも前に効く
  • ⑥ 座位カーフレイズはかかとを上げ下げするだけ。ふくらはぎのポンプでむくみ対策になる(→カーフレイズ)
  • ⑦ 手首・前腕ほぐしはグーパーと手首回し。タイピング疲れに

座っている時間そのものを道具で変える手もあります。③のドローインを仕事中ずっと意識し続けるのは難しいので、椅子をバランスボールに替えて、骨盤を立てていないと座っていられない状態を作る人もいます。大人は65cmが基準で、身長別のサイズは「バランスボールおすすめランキング14選」に表があります。⑥のカーフレイズをこまめに挟んでも夕方に足がむくむなら、日中用の着圧ソックスで補う方法もあります。足首の着圧(hPa)と一般医療機器の届け出の有無で18足を比べた「着圧ソックスおすすめランキング18選」に、使ってはいけない人の条件まで書いてあります。

物足りなくなったら、トレーニングチューブが便利。デスクの脚や自分の足に引っかければ、肩甲骨よせや背中引きに”効かせる”負荷を足せます。軽くて音も出ず、引き出しにしまえるのでデスクワークと相性抜群です。

立ったついで・ながらでできる運動5種|会社でも目立たない

立ち上がったタイミングや、電話・コピー中の”ながら”で。

  • ⑧ 立つたびスクワットは、席を立つたびに椅子へお尻をタッチする浅いスクワットを数回
  • ⑨ かかと上げは、立ち話や電話中にこっそりつま先立ち
  • ⑩ もも上げは、その場で片脚ずつ膝を持ち上げる
  • ⑪ 階段を使う。エレベーターをやめるだけで立派な運動になる

そして⑫ 足こぎペダル。デスクの足元に置いてこぐ”ながら有酸素”は、座ったままでも下半身とめぐりを動かし続けられます。会議や作業に集中しながら消費を稼げるので、「運動の時間が取れない」人の強い味方です。

【本題】30分ごとか、1時間に1回か

「座りっぱなしを区切る」話になると、30分ごとと言われることもあれば、1時間に1回と言われることもあります。研究や解説で目安として置かれやすいのは30分のほうですが、実際の仕事でその通りに動ける人はほとんどいません。50分の会議中に3回立ち上がるわけにはいかないからです。

そこで現実的なのは、時間で決めずに「立てる時間帯」と「立てない時間帯」で使い分けるやり方です。

場面立てるかやること目安
ひとりで作業している立てる席を立ってかかと上げ・浅いスクワット30分〜1時間に1回、2〜3分
会議・来客・通話中立てない座位カーフレイズ、ドローイン、お尻キュッ気づいたときに10〜30秒
移動・トイレ・給湯室もともと立つ階段を使う、少し遠回りする動いたついでに
昼休み自由5〜10分でも外を歩く1日1回

こうすると「30分ごとに立てなかった日」が失敗になりません。座ったままの10秒でも、脚の筋肉のスイッチを入れる意味はあります。立てない時間帯を座ったままの種目で埋めることが、実は続くかどうかの分かれ目です。

昼休みに外を歩くなら、そのうち3分だけ息が弾む速さに上げてみてください。それで話題のジャパニーズウォーキング(インターバル速歩)の形になります。逆に同じ速さで歩き続けるだけでは別物で、あちらは「会話が少しきつい」強度を作ることが効果の条件になっています。「トイレのあと」「コーヒーを入れたあと」など、毎日のトリガーに1種目ひも付けると習慣化しやすくなります。1回30秒〜1分の運動を1日に何度も挟む考え方そのものは「エクササイズスナックとは?」で研究の裏づけごと整理しました。ただしあちらが効果を報告しているのは階段の駆け上がりのように息が弾む強度のもので、ここに並べた座ったままの種目はそこまで上がりません。あちらが“こま切れ運動”という方法論を扱うのに対し、この記事はそれをデスクの上で何にあてはめるかを扱う側です。強度まで寄せたいなら、立ったついでのスクワットや階段を使う種目のほうを選んでください。

肩・首・腰・脚|不調が出た場所別のストレッチと座り直し

同じ座り姿勢でも、出る場所はだいたい決まっています。原因と、その場でやることを並べます。

出る場所座位で起きていることデスクでやること環境側の対策
肩・首頭が前に出て、肩甲骨が外に開いたまま固まる肩すくめ、肩甲骨よせ、首まわし画面を目線の高さに上げる
腰骨盤が後ろに倒れて背中が丸まる(反りすぎも同じく負担)ドローイン、座り直して骨盤を立てる座面の高さ、背もたれの角度
脚(むくみ)ふくらはぎのポンプが止まり、血液が下に溜まる座位カーフレイズ、足首回し足裏が床につく高さにする
お尻・太もも大きい筋肉が使われず、衰えと姿勢の崩れにつながる立つたびスクワット、お尻キュッ1時間に1回は席を離れる

腰については、反り腰も丸まりもよくありません。骨盤を立てて座る意識を持ちたいところです(→反り腰を筋トレで改善)。椅子をバランスボールに替えて骨盤を意識する手は、座ったままの筋トレの章で触れたとおりです。肩こりがなかなか抜けないときは「肩こりに効く運動・筋トレ」に、肩甲骨を動かす運動と、腕のしびれや頭痛をともなうなら運動ではなく受診に切り替えるという線引きが書いてあります。首の張りが強いときの「筋トレと首こり」は、枕の高さやうつ伏せ寝といった、日中の姿勢では説明のつかない原因まで扱っています。

デスクワーク運動でやりがちな失敗

  • 「あとでまとめて」と思うと、結局やらずに終わりがちです。1時間ごとに1個ずつの”分散”のほうが続きます
  • 完璧を目指して全部やろうとすると挫折します。まずは1種目だけでOK
  • 強度を上げすぎて職場で汗だくになるのは本末転倒。あくまで”こまめに軽く”です

座りっぱなしでいちばん縮んだままになるのが、背骨から太ももの骨へ伸びている腸腰筋です。立ち上がりの一歩目が重い、平らな床でつま先が引っかかる、という段階まで来ているなら「腸腰筋のトレーニング」に、もも上げが効いているかどうかを膝の高さ・骨盤の向き・支持脚の3点で見分ける方法が書いてあります。

まとめ

  • 座りっぱなしは不調のもと。1時間に1回動くだけで変わる
  • 座ったまま首・肩甲骨・体幹・お尻・ふくらはぎをこっそり動かせる
  • チューブや足こぎペダルがあると、“ながら”の効果が上がる
  • 続けるコツは、毎日の習慣に1種目ひも付けること。立てない時間帯は座ったままの種目で埋める

12種目を全部やろうとすると続きません。どれか1つに絞るなら、1時間に1回立つことです。種目を増やすより立つ回数が増えるほうが、1日の消費には効きます。この「動いた気がしない小さな動き」がなぜ体重に効くのかは、「NEAT(非運動性熱産生)とは?」に、運動以外の消費が人によって1日2000kcalも違うという研究と、減量が止まったときにここを疑う理由を扱っています。

ご注意: 座ったままできる運動はどれも軽い動きですが、長く同じ姿勢が続いた脚のほうには、それとは別の危険が潜んでいます。厚生労働省は深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について、片側の足のむくみや痛み、歩行時の息切れ、胸の痛み、一時的な意識消失が出たときは早急に医療機関を受診するよう求めています。左右で太さが明らかに違うふくらはぎの腫れは、夕方のむくみと見分けがつきにくいので、両脚か片脚かを手がかりにしてください。腰や首の張りが勤務時間のあいだずっと抜けないときは、種目を増やすより、椅子と机の高さや画面の位置といった作業環境ごと見直したほうが早いので、産業医や衛生管理者のいる職場なら一度そちらに持ち込んでみてください。手のしびれが指先の感覚の鈍さや、ボタンをとめにくいといった力の入りにくさにまで進んでいる場合は、前腕をほぐす運動を足す前に受診してください。