ナチュラルでどこまで筋肉はつく?“自然な限界”とFFMIの考え方

2026年7月20日 公開 / 2026年7月20日 更新
筋肉のついた人体シルエットの隣に、上限ラインまで伸びる目盛りを描いた線画イラスト

「薬(ステロイド)に頼らず、自分の努力だけでどこまで筋肉は大きくなるのか?」。これは筋トレを続ける人なら誰もが一度は気になる問いです。海外のフィットネス界では「ナチュラルの限界(natty limit)」として長く議論されてきました。この記事では、その目安になる FFMI という指標と、有名な研究をもとに、正直なところを解説します。

FFMIとは?「身長のわりの筋肉量」の指標

体格の指標というとBMIが有名ですが、BMIは脂肪も筋肉も区別しないため、筋肉質な人ほど「肥満」と誤判定されがちです。そこで筋肉量の目安として使われるのが FFMI(Fat-Free Mass Index=除脂肪量指数)です。

  • 除脂肪体重(体重から脂肪を除いた重さ)を、身長(m)の2乗で割る
  • さらに身長差の影響をならす補正を加える

ざっくり言えば 「身長のわりに、どれだけ筋肉があるか」を表す数字です。体脂肪率と体重が分かれば計算できます。当サイトの「体組成計の選び方」で体脂肪率を把握しておくと、自分のFFMIも出せます。

有名な研究:ナチュラルはFFMI「25」が目安

FFMIが“自然な限界”の指標として広まったきっかけが、1995年のクーリ(Kouri)らの研究です(Clinical Journal of Sport Medicine 掲載、2026年7月20日確認)。

この研究では、157人の男性アスリート(ステロイド使用者83人・非使用者74人)のFFMIを調べました。すると、

  • ステロイドを使っていない選手は、ほぼ全員がFFMI 25未満
  • ステロイド使用者は、25を大きく超える人が多かった

この結果から、FFMI 25前後が「ナチュラルでの上限の目安」として語られるようになりました。ステロイド普及前(1940〜50年代)の名選手たちのFFMIも24.5〜25程度だったという指摘もあり、目安として一定の説得力があります。

ただし「絶対の壁」ではありません: FFMI 25はあくまで統計的な目安で、生まれつき骨格が大きい・筋肉がつきやすいといった遺伝的な例外は存在します。「25を超えたら薬」と決めつける道具ではなく、「ナチュラルではこのあたりが現実的な到達点」という地図として使うのが正しい距離感です。

FFMIの目安(イメージ)

あくまで大まかな体感の目安です。

FFMIイメージ
18前後運動習慣の少ない標準的な男性
20〜22しっかり筋トレしている「引き締まった」体
22〜24かなり鍛え込まれた、周囲に「すごい」と言われる体
25前後ナチュラルのトップクラス。長年の到達点

多くの人が思っているより、FFMI 25という数字は“はるか遠い頂上”です。逆に言えば、20〜22でも十分に「鍛えている体」。まずはそこを目標にするのが現実的です。

最初の1〜2年が「ボーナス期間」

もう一つ知っておきたいのが、筋肉の増えるペースは一定ではなく、年々落ちていくということです。個人差は大きい前提で、ざっくりしたイメージはこうです。

  • 1年目:最も伸びる。初心者の男性で年に数kg〜10kg前後の筋肉増加も期待できる(=いわゆる「初心者ボーナス」)
  • 2年目:ペースは半分ほどに
  • 3年目以降:さらにゆるやかになり、年に1〜2kg増やすのも大変になっていく

だからこそ、始めたばかりの時期に正しいフォームと習慣を作ることのリターンが大きいのです(「筋トレの効果はいつから?」)。一度鍛えた経験はマッスルメモリーとして体に残るので、ブランクがあっても戻しは速くなります。

SNSの体と、自分を比べない

この話をあえて書くのは、SNSで見る“規格外の体”と自分を比べて落ち込む人が多いからです。

コンテストの上位やインフルエンサーの中には、ナチュラルの目安を大きく超える体の人もいます。そうした体を基準に「自分は才能がない」と感じてしまうのは、フェアな比較ではありません。あなたが目指すべきは、去年の自分より強く・引き締まった体です。FFMIは、現実的なゴールを描いて、無理なく長く続けるための地図として使ってください。

まとめ

  • FFMIは「身長のわりの筋肉量」を表す指標。BMIと違い筋肉量の目安になる
  • 1995年のクーリらの研究で、ナチュラルの選手はほぼ全員FFMI 25未満だった。25前後が自然な上限の目安
  • ただし絶対の壁ではなく、遺伝的例外はある。決めつけの道具にしない
  • 20〜22でも十分「鍛えた体」。まずはそこを現実的な目標に
  • 筋肉が最も伸びるのは最初の1〜2年。以降はペースが落ちる。SNSの規格外と比べない

ご注意: FFMIや筋肉増加のペースには大きな個人差があり、年齢・骨格・性別・トレーニング歴などで変わります。数値は1995年のKouriらの研究など(2026年7月20日確認)に基づく一般的な目安で、あなたの上限を断定するものではありません。なお、筋肉増強を目的としたアナボリックステロイド等の使用は、医師の管理外では健康被害や法的な問題を伴います。この記事は使用を勧めるものではありません。

よくある質問(FAQ)

FFMIとは何ですか?
除脂肪体重(脂肪以外の重さ)を身長で補正した指標で、「身長のわりにどれだけ筋肉があるか」を表します。BMIが体重ベースなのに対し、FFMIは筋肉量の目安になります。計算は除脂肪体重(kg)÷身長(m)²に、身長補正を加えたものです。
ナチュラル(自然)でのFFMIの上限はどのくらいですか?
有名な1995年の研究では、ステロイドを使っていない選手はほぼ全員がFFMI 25未満で、使用者はそれを超える人が多くいました。このためFFMI 25前後が「自然な上限の目安」とされます。ただし絶対的な壁ではなく、遺伝的な例外はあります。
最初の1年でどれくらい筋肉は増えますか?
個人差が大きい前提ですが、トレーニング初心者の男性で年に数kg〜10kg前後の筋肉増加が期待できるとされ、その後は年々ペースが落ちていきます。最初の1〜2年が最も伸びる「ボーナス期間」です。