筋トレで肘が痛い|テニス肘・ゴルフ肘の見分け方と対処のコツ

2026年7月21日 公開 / 2026年7月21日 更新
肘を押さえて痛みを確かめる人物の線画イラスト。肘をボルト色で示す

「アームカールで肘の内側が痛い」「プルダウンや物を持ち上げるとき肘の外側がうずく」。肘の痛みも、筋トレでよくあるトラブルです。その多くがテニス肘(外側上顆炎)ゴルフ肘(内側上顆炎)。名前にスポーツがついていますが、テニスやゴルフをしていなくても起こります。この記事では、原因と悪化させない付き合い方、受診のサインを整理します。

先に危険信号:この肘の痛みは受診を

まず見極めから。次のような場合は、トレーニングで様子を見るより整形外科の受診を優先してください。

  • 安静にしても痛む・夜間に痛む
  • 肘に力が入らない・曲げ伸ばしがしづらい
  • 手や指にしびれがある
  • 強くぶつけた・ひねったあとの痛み
  • 腫れ・熱感がある

これらは、神経の圧迫や関節そのもののトラブルのサインであることがあります。あてはまるなら、この先の運動の話はいったん保留にしてください。

テニス肘とゴルフ肘の違い

危険サインがない、いわゆる「使うと痛い」肘の不調で多いのが次の2つです(日本整形外科学会などの情報より、2026年7月20日確認)。

呼び名医学名痛む場所悪化する動作
テニス肘上腕骨外側上顆炎肘の外側物を持ち上げる・タオルを絞る・手首を反らす
ゴルフ肘上腕骨内側上顆炎肘の内側握り込む・手首を手のひら側に曲げる

どちらも、前腕の筋肉から肘につながる腱の“使いすぎ”が背景です。とくにテニス肘のほうが多く、安静時は痛まず、動作のときに痛むのが典型です。

筋トレで肘を痛めやすい場面

肘の腱に負担が集中しやすいのは、次のような場面です。

  • アームカール(とくにEZバーでなく真っすぐなバー):手首・肘の角度が合わないと内側・外側の腱に負担
  • プルダウン・ローイング・懸垂:握り込んで引く動作で前腕の腱に繰り返し負荷(「懸垂ができるようになる練習法」)
  • 握力を強く使う種目:デッドリフトやダンベルを強く握り込む動作
  • 重すぎる・回数が多すぎる:使いすぎそのもの

共通するのは「前腕の腱を、繰り返し・強く使っている」こと。フォームの崩れと使いすぎが重なると発症しやすくなります。

悪化させないための付き合い方

① 痛む種目・動きを避ける

痛みが出る種目(多くはカール・引く種目・握り込み)はいったん外します。我慢して続けると長引きます。

② 握り方・バーを見直す

アームカールは、手首と肘に無理のない角度になるEZバーやダンベルに替えると負担が減ります。握り込みすぎず、リラックスして握るのもポイント。

③ 重量と回数を落とす

使いすぎが原因なので、重量・セット数・頻度を一度減らすのが基本。痛みの出ない範囲に戻します。

④ 冷やす・温めるを使い分ける

急に痛くなって熱っぽい時期は冷やす、慢性的にこわばる時期は温めて血流を促すのが目安。判断に迷う痛みや長引く痛みは受診を。

予防とケア

  • ウォームアップで肘・前腕をほぐす:いきなり高重量に入らない
  • 前腕のストレッチ:手首を反らす/曲げる方向に、反対の手で軽く伸ばす。腱の柔軟性を保つ
  • 前腕を無理なく鍛える:手首まわりが安定すると腱の負担が減る(「前腕・握力のトレーニング」)。ただし痛みがあるうちは休む
  • “押す・引く”のバランス:特定の動作に偏らせない

前腕ストレッチとエルボーバンド

痛みが落ち着いてきたら、前腕のストレッチを習慣にすると再発を防ぎやすくなります。テニス肘・ゴルフ肘はどちらも前腕の腱の問題なので、前腕をやわらかく保つのが効きます。

  • テニス肘(外側)向け:腕を前に伸ばし、手のひらを下に。反対の手で手の甲を手前・下に引いて前腕の外側〜上側を伸ばす
  • ゴルフ肘(内側)向け:腕を前に伸ばし、手のひらを上に。反対の手で指を手前・下に引いて前腕の内側を伸ばす

いずれも痛気持ちいい範囲で20〜30秒、反動をつけずに、左右それぞれ行います。強く伸ばしすぎないのがコツで、伸ばして鋭い痛みが走るならやりすぎのサイン。トレーニングの前後や、デスクワークの合間にこまめに行うと、腱の柔軟性を保ちやすくなります。

もう一つの選択肢がエルボーバンド(テニス肘バンド)。前腕の腱にかかる張力を分散させる道具で、痛む動作のときに負担を減らせます。ただし手首のリストラップと同じで、痛みを隠して無理を続ける道具ではありません。まずは負担を減らし、フォームを直すのが先です。

肘の痛みも日常でつくられる

肘の使いすぎは、筋トレ以外の場面でも積み重なります。

  • パソコン作業:マウスの握り・クリックの繰り返しで前腕の腱に負担
  • 重い荷物・買い物袋:手のひらを下にして持ち上げる動作はテニス肘に、握り込む動作はゴルフ肘に効く
  • スマホの長時間保持

「ジムを休んでいるのに治らない」ときは、日常の“持つ・握る・クリックする”に原因が残っていることが少なくありません。荷物は体に近づけて持つ、重いものは両手で、ペットボトルのフタは手のひら全体で、といった小さな工夫でも負担は変わります。トレーニングの肘ケアと日常の使い方の見直しは、セットで考えると回復が早まります。

痛みが引いてきたら(戻し方)

痛みが和らいでも、軽い重量・少ない回数から再開し、週ごとに少しずつ戻します。痛みがぶり返したら一段戻す。肘は、腕を使う多くの種目に関わるぶん、こじらせると長引きやすい部位です。「早めに負担を減らす」ことが、結局いちばんの近道だと覚えておいてください。ほかの部位が痛む場合は「筋トレで手首が痛い」「筋トレで肩が痛い」「筋トレと腰痛」もどうぞ。

まとめ

  • 筋トレの肘の痛みはテニス肘(外側)・ゴルフ肘(内側)が多く、前腕の腱の使いすぎが背景
  • スポーツをしていなくても起こり、安静時は痛まず動作で痛むのが典型
  • 安静時痛・力が入らない・しびれ・腫れがあれば受診
  • 対処は痛む種目を外す・EZバー/ダンベルに替える・重量と頻度を落とす
  • 予防はウォームアップ・前腕ストレッチ・押す引くのバランス。長引かせないことが最優先

ご注意: この記事は筋トレ時の肘の不調とのつきあい方を、日本整形外科学会などの一般情報(2026年7月20日確認)をもとに整理したもので、診断・治療を目的とするものではありません。安静時の痛み、力が入らない、しびれ、腫れ・熱感、長引く痛みがある場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診してください。回復には個人差があります。

よくある質問(FAQ)

テニス肘とゴルフ肘の違いは何ですか?
痛む場所が違います。テニス肘(外側上顆炎)は肘の“外側”が痛み、物を持ち上げる・タオルを絞る動作で悪化します。ゴルフ肘(内側上顆炎)は肘の“内側”が痛みます。どちらも前腕の腱の使いすぎが背景で、テニスやゴルフをしていなくても起こります。
肘が痛いとき筋トレは休むべきですか?
痛む種目・動きはいったん避けるのが基本です。とくにアームカール、プルダウン、握り込みの強い種目など、前腕の腱に負担がかかる動作を控えます。安静にしても痛む、力が入らない、しびれるといった場合は整形外科を受診してください。
肘の痛みはどれくらいで治りますか?
多くは安静・冷却・鎮痛などの保存療法で改善しますが、数週間〜数か月かかることもあります。痛みを我慢して使い続けると長引きやすく、まれに6〜12か月以上改善しない場合は手術が検討されることもあります。早めに負担を減らすことが近道です。