メンズフィジークとは?ボディビルとの違い・目指す体型・歴代王者
ジムに通い始めて体が変わってくると、「いつか大会に出てみたいな」と思う瞬間があります。そのとき、初心者がまず名前を聞くのが メンズフィジークです。SNSでも人気で、いま最も入口として選ばれやすい大会カテゴリーですが、「ボディビルと何が違うの?」と聞かれると答えづらい——そんな人のために、公式の審査基準を確認しながら整理します。
まず結論:ボードショーツで「上半身のかっこよさ」を競う
メンズフィジークは、膝上丈のボードショーツ(サーフパンツ)をはいた状態で、上半身を中心とした均整のとれた体を競うカテゴリーです。2013年にミスター・オリンピアの正式部門として加わった、比較的新しい競技です。
ポイントは、「大きさ」で勝つ競技ではないということ。極端に発達した巨大な筋肉はむしろ評価を下げることがあり、代わりに全体のバランス、逆三角形のシルエット、そしてステージでの見せ方(パーソナリティ)が問われます。海やプールで映える“憧れの体”をそのまま競技にしたようなイメージが近いです。
ボディビルとの違いを一枚で
言葉で説明するより、並べたほうが早いので表にします(各団体の公式審査基準の記述より)。
| メンズフィジーク | ボディビル | |
|---|---|---|
| 目指す体型 | 逆三角形・均整のとれた自然な筋肉美 | 極限まで発達した最大級の筋量 |
| 服装 | ボードショーツ(膝上丈)・上半身裸・素足 | 小さなトランクス(ポージングトランクス) |
| 脚の評価 | 下半身を露出しないため比重が低い | 脚も含めた全身を厳しく評価 |
| 絞り(コンディション) | 適度に絞る。過度な血管・カットは不要 | 皮膚が薄く見えるほど極限まで絞る |
| ポーズ | フロント/バックのクォーターターン中心 | 規定ポーズ+フリーポーズ |
| 減点になるもの | 極端な筋量・部位のアンバランス | (大きさは基本的に武器になる) |
いちばん効いてくるのが脚の扱いです。メンズフィジークはボードショーツで下半身が隠れるため、脚を極限まで作り込まなくても戦えます。この“間口の広さ”が、初心者に人気の理由のひとつです。
メンズフィジークで作る体:上半身の「Xライン」
では具体的にどこを鍛えるのか。メンズフィジークで評価される体は、ざっくり言うと肩から広がってウエストで締まる逆三角形です。優先度の高い部位を挙げます。
- 肩(三角筋):横に張り出す中部を作ると、上半身の“広さ”が一気に出る → 肩幅を広く見せる鍛え方
- 背中(広背筋):バックポーズの広がりを決める土台 → 背中の筋トレ
- ウエスト:太くしすぎないことが逆三角形を際立たせる → くびれと腹斜筋
- 胸・腕:正面の見栄えとバランスを整える → 胸の筋トレ
注意したいのは、「脚はやらなくていい」ではないことです。露出しないだけで、上半身とのバランスや全身の連動のために脚も鍛えます。「見せない部位=サボっていい部位」ではない、というのは競技としての奥深さでもあります。
歴代王者:4連覇の“フィジークの王様”ジェレミー・ブエンディア
メンズフィジークの歴史を語るうえで外せないのが ジェレミー・ブエンディア(Jeremy Buendia)です。オリンピアのメンズフィジーク部門で 2014年から2017年まで4連覇を達成し、この部門の最多優勝者として「フィジークの王様」と呼ばれました。整ったシルエットと圧倒的なステージングは、いまも多くの選手の基準になっています。
オリンピア・メンズフィジークの歴代王者を並べておきます(オリンピア公式・各記録より、2026年7月19日確認)。
| 年 | 優勝 |
|---|---|
| 2013 | マーク・アンソニー・ウイングソン(初代) |
| 2014〜2017 | ジェレミー・ブエンディア(4連覇) |
| 2018 | ブランドン・ヘンドリクソン |
| 2019 | レイモント・エドモンズ |
| 2020・2021 | ブランドン・ヘンドリクソン |
| 2022 | エリン・バンクス |
| 2023〜2025 | ライアン・テリー(3連覇中) |
現在の王者はイギリスのライアン・テリーで、2025年に3連覇を達成しています。大会そのものの全体像(部門・歴史・賞金)は ミスター・オリンピアとは? にまとめているので、あわせて読むと立体的に見えてきます。
日本人プロも増えている
メンズフィジークは日本でも競技人口が多く、IFBBプロのライセンスを取得した日本人選手も着実に増えています。象徴的なのが 湯浅幸大選手です。
湯浅選手は 日本人4人目のIFBBプロメンズフィジーカーとされ、2018年のオリンピア・アマチュア(ラスベガス)で優勝してプロ入りしました。国内トップクラスの実績を積み、メンズフィジークのミスター・オリンピア本戦にも出場しています。ほかにも エドワード加藤選手をはじめ複数の日本人IFBBプロが世界のステージで戦っており、「日本人には難しい」と言われた領域が着実に切り開かれています(2026年7月19日確認)。
セルフチェック:フィジーク向き?ボディビル向き?
「どっちを目指すか」で迷う人向けに、簡単な目安を置いておきます。あくまで入口の判断材料です。
- 肩幅・上半身の見栄えで勝負したい/脚を極限まで太くすることに興味がない → メンズフィジーク向き
- 全身をとにかく大きく・重く仕上げたい/脚のサイズにも情熱がある → ボディビル(またはクラシックフィジーク)向き
- 細マッチョな“着映えする体”がゴール → 大会に出なくても、メンズフィジーク的な作り方が参考になる
ここで一つ誤解をほどいておくと、「メンズフィジークはボディビルより楽」ではありません。求められる筋量の“方向性”が違うだけで、絞りの深さや見せ方の完成度は高い水準で問われます。間口が広いことと、頂点が甘いことは別の話です。
出てみたくなったら
競技としての魅力が分かってくると、「自分も出られるのか」が気になります。日本でメンズフィジークに出る具体的な手続き——団体(FWJ/JBBF/ZeniX)の選び方、初心者クラス、カラーリングなどの規定——は NPCJとは?今はFWJ|大会に初めて出る人の団体選び にまとめています。この記事(=競技の中身と体づくり)とは役割を分けているので、出場を決めたらそちらへ進んでください。体づくりの面では、増量と減量をどう切り替えるかがカギになります。 リーンバルク と リコンプ が土台の考え方になります。
まとめ
- メンズフィジークは ボードショーツ姿で上半身中心の“かっこよさ”を競う、2013年にオリンピア部門化された競技
- ボディビルとの最大の違いは評価軸が「大きさ」でなく「バランスと見せ方」である点。脚を露出しないぶん間口が広く、初心者の入口に選ばれやすい
- 目指すのは肩から広がりウエストで締まる逆三角形。ただし脚を鍛えないという意味ではない
- 歴代最強は 4連覇のジェレミー・ブエンディア。現王者は3連覇中のライアン・テリー
- 日本人でも 湯浅幸大選手(日本人4人目のIFBBプロとされる)ら、世界のステージで戦う選手が増えている
ご注意: 大会に向けた減量は、短期間で体重を大きく落とすと体調・ホルモン・骨密度などに影響が出ることがあります。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は医師に相談したうえで計画してください。仕上がりや進み方には個人差があります。選手名・記録はオリンピア公式サイトおよび各種公開記録を2026年7月19日に確認したものですが、今後の大会で更新されます。
よくある質問(FAQ)
- メンズフィジークとボディビルの一番の違いは何ですか?
- 評価軸が「大きさ」ではなく「バランスと見せ方」である点です。メンズフィジークはボードショーツをはくため脚の評価比重が低く、上半身の逆三角形のシルエットや全体の均整、ステージでの見せ方が重視されます。極端な筋量やアンバランスはむしろ減点対象とされています。
- メンズフィジークは初心者でも始めやすいですか?
- 大会カテゴリーとしては入りやすい部類です。下半身を露出せず、ボディビルほど極端な絞りや筋量を求められないため、初出場の入口として選ばれやすいカテゴリーです。ただし「楽」という意味ではなく、絞りと見せ方の完成度は高いレベルで求められます。
- メンズフィジークで日本人のプロ選手はいますか?
- います。湯浅幸大選手は日本人4人目のIFBBプロメンズフィジーカーとされ、2018年のオリンピア・アマチュア(ラスベガス)で優勝してプロ入りしました。ほかにもエドワード加藤選手など複数の日本人IFBBプロが活躍しています(2026年7月19日確認)。