「肺を鍛える」ってできる?呼吸筋トレーニングの効果とやり方【自宅でできる】
階段や少し走っただけで息が切れる。持久力を上げたい。そんなとき「肺を鍛えたい」と思いますよね。でも正確に言うと、肺そのものは筋肉ではありません。鍛えられるのは、肺を動かしている呼吸筋。ここは筋肉なので、ちゃんとトレーニングで強くできます。
- 「肺」は袋。鍛えるのは、それを動かす横隔膜・肋間筋などの呼吸筋
- 呼吸筋を鍛えると運動時の息切れが減り、持久力の助けになるとされる
- 鍛え方は、有酸素・腹式呼吸・体幹トレ+専用器具(パワーブリーズ)
「肺を鍛える」の正体は”呼吸筋”
肺は自分では膨らみません。空気を吸い込むとき、横隔膜(おうかくまく)や肋間筋(ろっかんきん)といった筋肉が胸郭を広げています。これらをまとめて呼吸筋と呼びます。腕や脚と同じ筋肉なので、使えば強くなる。これが「肺を鍛える」の本当の意味です。
呼吸筋を鍛えるメリット
- 運動時の息切れが減り、呼吸がラクになって持久系のパフォーマンスを後押しします
- 呼吸筋そのものが疲れにくくなるので、長く動けるようになる
- 深い呼吸ができるようになると体幹とも連動し、姿勢の安定にもつながります
医療の現場でも、吸気筋トレーニング(IMT)は呼吸リハビリテーションの手段として研究が続けられています。
出典:日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 32巻1号(2023年) 俵祐一ほか「呼吸器疾患に対する呼吸筋トレーニング:Proの立場から」は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者を対象としたGosselinkらのメタアナリシス(2011年)の結果を表にまとめています。吸気筋トレーニングによる改善は、最大吸気圧が32報のランダム化比較試験でおよそ13cmH2O、6分間歩行距離が22報でおよそ32mでした(J-STAGE/2026年9月22日確認)。ただし対象はCOPDの患者で、健康な人が同じだけ変わるという意味ではありません。
道具なしでできる呼吸筋トレ
まずはお金をかけずに始められる3つから。あわせて、後ろで説明する専用器具も同じ表に並べておきます。腕や脚のトレーニングと同じで、負荷を数字で決められるかどうかが、器具の有無でいちばん変わるところです。
専用器具で”負荷をかけて”鍛える=パワーブリーズ
呼吸筋も筋肉なので、負荷をかけたほうが効率的に鍛えられます。その代表格が、イギリス生まれの吸気筋トレーニング器具パワーブリーズ(POWERbreathe)です。1日数分でよく、負荷調節ノブを回して段階的に強くしていけるのが、道具なしのトレーニングとの決定的な違いになります。
メーカーは、公式サイトで、呼吸筋トレーニングを4週間続けると吸気筋力をあらわす指標が約40%上がると言われている、と説明しています(2026年9月22日確認。あくまで目安で、個人差があります)。ランナーや自転車乗り、管楽器・歌をやる人、いびきや息切れが気になる人まで、幅広く使われています。
使い方と注意点
器具を使うときの目安をまとめます。
| 決めること | 目安 |
|---|---|
| 回数 | 1日30回ほどを1〜2セット |
| 負荷 | らくにできる強さから始め、徐々に上げる |
| 中止するとき | めまいや強い息苦しさを感じたらすぐに |
| 事前に相談が要る人 | 呼吸器や心臓に持病がある方、通院中の方 |
パワーブリーズには医療向けの製品もありますが、疾患のトレーニングは専門家の指導のもとで行うものです。自己判断で強い負荷に上げないでください。
「肺活量の鍛え方」の正体|増えるのは容量ではなく使える呼吸
肺活量の鍛え方として紹介される方法は、中身をたどるとほとんどが呼吸筋のトレーニングです。肺そのものを大きくする手段ではないと分かっていれば、期待の置き場所を間違えずにすみます。
- Q. 肺活量は増える?/ A. 肺の容量そのものは大きくは変わりませんが、呼吸筋が強くなることで「使える呼吸」がラクに深くなります。
- Q. どんな人に向く?/ A. 息切れしやすい人、持久系スポーツをする人、歌・管楽器をやる人、いびきが気になる人など。健康な人の底上げにも。
- Q. どのくらいで効果が出る?/ A. 研究やメーカー公称では数週間が目安。まずは4週間、続けてみましょう。
こんな人に効果を感じやすい
呼吸筋トレは、次のような人ほど変化を感じやすいとされます。
- 階段や坂道ですぐ息が上がる
- ランニングやスポーツで“呼吸がきつくて止まってしまう”
- デスクワークで呼吸が浅くなりがち
- 歌・管楽器など、息を長くコントロールして使いたい
呼吸筋も筋肉なので、すぐには変わりません。効果を感じるまでは数週間〜を見て、毎日の習慣に少しずつ組み込むのがコツです。息苦しさや胸の痛みを感じたら中止し、呼吸器・心臓に持病のある方は始める前に医師にご相談ください。
まとめ
「肺を鍛える」という言い方は正確ではなく、鍛えられるのは肺を動かしている横隔膜や肋間筋です。ここは腕や脚と同じ筋肉なので、使えば強くなるし、使わなければ衰えます。息切れの正体を肺の容量の問題だと思っていた人には、ここが出発点になります。
始めるのに器具は要りません。腹式呼吸で横隔膜を意識して動かす、有酸素で呼吸筋を自然に使う、プランクで体幹と呼吸の連動を高める。この3つでも土台はつくれます。器具との差は効果の有無ではなく、負荷を数字で決められるかどうか。パワーブリーズのようにノブで段階を上げられると、腕や脚のトレーニングと同じように進み具合を管理できます。
器具を使うなら、1日30回を1〜2セット、らくにできる強さから。期間はまず4週間を見ます。メーカーは4週間で吸気筋力の指標が約40%上がると説明していますし、COPD患者を対象にしたメタ分析でも最大吸気圧が約13cmH2O、6分間歩行距離が約32m改善したと報告されています。ただし後者は患者を対象にした数字で、健康な人が同じだけ変わるという意味ではありません。めまいや強い息苦しさが出たらその場で中止、呼吸器や心臓に持病がある人は始める前に医師へ相談してから。
ご注意: 呼吸筋のトレーニングは深く速い呼吸を繰り返すため、手足のしびれやふらつきが出ることがあります。必ず座った状態で始め、症状が出たら中断して普段の呼吸に戻してください。喘息やCOPDで治療中の方、気胸を起こしたことがある方は、負荷をかける器具を使う前に主治医の許可を取ってください。器具は口にくわえて使うので、家族間でも共用せず、使用後に洗って乾かします。