オーストラリアンプルアップ(斜め懸垂)のやり方|懸垂ができない人の背中トレ

2026年7月23日 公開 / 2026年7月23日 更新
低い鉄棒の下に体を一直線にして寝そべり、胸をバーへ引き上げる斜め懸垂(オーストラリアンプルアップ)の線画イラスト

「懸垂で背中を鍛えたいけど、1回もできない」。多くの初心者がぶつかる壁です。そこで頼りになるのが、オーストラリアンプルアップ(斜め懸垂)。低いバーの下に体を斜めにして引き上げるだけで、懸垂ができない人でも背中をしっかり使えます。しかもバーの高さで負荷を自由に調整でき、慣れれば通常の懸垂への橋渡しにもなる、コスパ抜群の種目です。この記事では、効く部位・正しいやり方・フォームのコツ・難易度の変え方を、図解つきで解説します。

結論
  • 斜め懸垂は懸垂ができない人でも背中を鍛えられる“引く”種目
  • バーの高さで負荷を調整。体を立てるほど楽、水平に近いほどキツい
  • コツは体を一直線に保ち、肩甲骨を寄せて胸をバーへ

オーストラリアンプルアップ(斜め懸垂)とは

オーストラリアンプルアップは、腰くらいの高さのバーの下に体を斜めにして寝そべり、体を一直線に保ったまま、胸をバーへ引き上げる自重トレーニングです。日本語では斜め懸垂、英語圏ではインバーテッドロウ(inverted row)とも呼ばれます。

通常の懸垂が「自分の全体重をぶら下がって持ち上げる」のに対し、斜め懸垂は足を地面につけたまま行うため、支える体重の一部が脚に分散され、負荷が軽くなります。だから懸垂が1回もできない初心者でも、背中を強く使えるのです。

どこに効く?

「引く」動作で、背中を中心に上半身の裏側を広く鍛えられます。主に効くのは次の部位です。

斜め懸垂
斜め懸垂のフォームと、主に効く部位(背中(広背筋))を示した図
効く部位 背中(広背筋)
  • 主役は広背筋です。背中の広がりをつくる大きな筋肉で、引く動作の中心になります。
  • 肩甲骨を寄せる動きでは僧帽筋の中部と菱形筋が働き、姿勢の改善にもつながります。
  • 肘を曲げて引くぶん、力こぶの上腕二頭筋も補助的に使われます。
  • 肩の裏側にある後部三角筋と、体を一直線に保つための体幹も動員されます。

懸垂とまったく同じ「引く」動作なので、懸垂に必要な背中と腕の土台づくりにぴったりです。

正しいやり方(ステップ)

フォームはシンプルですが、いくつか押さえるポイントがあります。

  1. 腰くらいの高さのバーを握り、その下に仰向けで潜り込みます。手幅は肩幅より少し広めに取ります。
  2. かかとを地面につけ、頭・背中・お尻・かかとが一直線になるよう構えます。お尻は落としません。
  3. 肩甲骨を寄せながら、胸をバーに近づけるように体を引き上げます。
  4. 力を抜かず、コントロールしながら元の位置へ戻します。

「腕で引く」より「肩甲骨を寄せて、胸を張って引く」と意識すると、背中に効きやすくなります。

【重要】よくある失敗とフォームのコツ

効果が半減しやすい、ありがちなミスを挙げます。ここを直すだけで、背中への効きが大きく変わります。

  • お尻が落ちて体が“くの字”になると、背中に効きません。お腹に力を入れ、頭からかかとまで一直線をキープします。
  • 首をすくめて引くと、背中ではなく首や肩に効いてしまいます。肩を下げ、肩甲骨を寄せる意識で。
  • ちょっとだけ引いて終わりでは効果が減ります。胸がバーに触れるくらいまで、しっかり引ききりましょう。
  • 勢いをつけて反動で上げるのも効かない原因です。ゆっくり引いて、ゆっくり下ろします。

背中は自分で見えないぶん“効かせる感覚”をつかみにくい部位です。うまく効かない人は「背中の筋トレ」の効かせ方のコツもあわせてどうぞ。

バーの高さで難易度を変える

斜め懸垂の最大の利点は、負荷を細かく調整できることです。同じ種目のまま、自分のレベルに合わせられます。

  • バーを高くして体を立てるほど、支える体重が減って負荷が軽くなります。初心者はここから。
  • バーを低くして体を水平に近づけると負荷が上がります。慣れてきたら少しずつ下げていきましょう。
  • 足を前に伸ばしたり、かかとを台に乗せたりすると、さらに負荷が上がります。
  • 片手に近づけるやり方は上級者向けで、左右差の解消にも使えます。

「10回が余裕になったらもう一段キツく」と、少しずつ負荷を上げていくのが成長のコツです(負荷の上げ方は「漸進性過負荷とは」)。

どこでできる?

斜め懸垂は、場所さえあれば器具を買わずにできます。

  • ジムのスミスマシンなら、バーの高さを自由に固定できて最適です。
  • 公園の低い鉄棒やうんていも、高さの合うバーがあれば十分に使えます。
  • 自宅で代用する定番は頑丈なテーブルの縁です。安定と耐荷重は必ず確認してください。
  • 吊り輪やTRXがあると、高さと角度を細かく変えられます。

自宅でバーがない場合は、テーブルの下に潜って縁をつかんで行う方法もあります。ただし、ぐらつかない頑丈なものを選び、安全第一で。

懸垂への橋渡しに使う

斜め懸垂は、それ自体が優れた背中トレですが、懸垂ができるようになるためのステップとしても最適です。斜め懸垂で「引く感覚」と背中・腕の筋力を育て、徐々にバーを低くして負荷を上げていけば、やがて自分の体重を引き上げる懸垂に手が届きます。0回から懸垂を目指す具体的な道のりは「懸垂ができるようになる完全ロードマップ」でくわしく解説しています。

頻度・回数の目安

背中は大きい筋肉で回復に時間がかかるので、同じ部位は中1〜2日あけるのが基本です。まずは週2回、10回×2〜3セットを目安に。10回が楽にできるようになったら、バーを低くするなどして負荷を上げましょう。フォームが崩れる回数まで無理に増やすより、正しい可動域で丁寧に行うほうが効きます(頻度の考え方は「筋トレは週何回がベスト?」)。

まとめ

  • オーストラリアンプルアップ(斜め懸垂)は懸垂ができない人の背中トレの最適解
  • 主に広背筋・肩甲骨まわり・力こぶに効く“引く”種目
  • バーの高さで負荷を自在に調整できるのが最大の利点
  • コツは体を一直線に・肩甲骨を寄せて胸をバーへ・ゆっくり
  • 続ければ通常の懸垂への橋渡しになる

ご注意: テーブルなどで代用する場合は、耐荷重と安定を必ず確認し、ぐらつくものでは行わないでください。肩や肘、手首に痛みがある場合は無理をせず中止し、必要に応じて専門家にご相談ください。フォームが崩れる無理な回数・角度は、ケガのもとになります。

よくある質問(FAQ)

オーストラリアンプルアップとは何ですか?
腰くらいの高さのバーの下に体を斜めにして寝そべり、体を一直線に保ったまま胸をバーへ引き上げる自重トレーニングです。斜め懸垂、インバーテッドロウとも呼ばれます。通常の懸垂(自分の全体重を持ち上げる)より負荷が軽く、懸垂が1回もできない初心者でも背中を強く使えるのが特徴。バーの高さで負荷を細かく調整できます。
斜め懸垂はどこに効きますか?
主に背中(広背筋)と、肩甲骨まわり(僧帽筋の中部・菱形筋)に効きます。加えて、引く動作で上腕二頭筋(力こぶ)や後ろの肩、体を一直線に保つための体幹も使います。懸垂と同じ「引く」動作なので、懸垂に必要な背中と腕の土台づくりに最適です。
懸垂ができない人でもできますか?
できます。むしろ懸垂ができない人のための種目です。バーを高くして体を立てるほど負荷が軽くなるので、自分に合った角度から始められます。慣れてバーを低くし、体を水平に近づけていくと負荷が上がり、やがて通常の懸垂へのステップアップにつながります。