HYROXルール変更2026/27|種目を途中でやめたら失格、サンドバッグは置くたびに15秒。大阪2027の前に確かめる変更点

2026年9月17日 公開 / 2026年9月17日 更新
ローイングマシンに座ったまま片腕を上げてジャッジに完了を知らせる選手の線画イラスト

HYROXのルールを日本語で調べると、いま見つかるのはほとんどが25/26シーズンの内容です。公式の日本語ルールブックも25/26版で、入門記事もそれをもとに書かれています。ところが2027年1月の大阪、4月の名古屋は26/27シーズンの大会で、その間にルールブックはかなり書き換わりました。

いちばん影響が大きいのは、種目を途中でやめたときの扱いです。以前は「足りなかった分だけ時間を足す」で済む種目がありましたが、26/27では8種目のどれであっても、最後までやり切れなければ失格と明記されました。一方で、サンドバッグを2回下ろしたら失格、バーピーの着地は両足ぴったり平行、といった厳しすぎた規定は緩められています。

この記事では、HYROX Japanが公開している25/26の日本語版と、HYROX公式の26/27英語版を条文ごとに突き合わせ、どちら向きに変わったかを整理します(2026年9月17日確認)。英語圏の解説記事は変更点の見落としを防ぐためだけに使い、「前はどうだったか」は日本語版の条文だけを根拠にしました。

結論
  • 26/27では8種目すべてで「途中でやめたら失格」。ローイングの980m離脱やウォールボールの不足は、もう時間の加算では済まない
  • 緩くなったのはサンドバッグ(2回目で失格→毎回15秒)、ローイングの休み方、バーピーの足の前後差(5cmまで可)
  • 新しく増えたのはスタートトンネルの1分、耳栓とスマートグラスの持ち込み禁止、会場条件による「Out of Ranking」
  • チョークは「大会のもの以外は不可」が25/26から続いていて、26/27は自前のチョークとウォールボールを名指しで書き足した

いちばん大きい変更は「種目を最後までやり切れなければ失格」|ランの周回不足とは別に扱われる

26/27の英語版ルールブックは、動作基準を定めた8章の冒頭に次の趣旨の一文を置いています。各ワークアウトステーションは完全に終えなければならず、終えられなければ失格(Incomplete Station)とする。これは8つのステーションすべてに適用され、ランの周回不足のペナルティとは別に12章で扱う。

この一文が効いてくるのは、25/26の日本語版で「時間の加算」になっていた種目です。並べると、変わり方の大きさがよく分かります。

種目と場面25/26(日本語版)26/27(英語版)
スキーエルグ・ローイングを1,000m前に降りる980mなら10秒、900〜979mなら2分、899m未満で失格失格
スレッドプッシュ・プルのレーンが足りない不足1レーンにつき3分失格
ファーマーズキャリーの周回が足りない不足1周につき3分失格
ウォールボールが100回に届かない不足1回につき15秒失格
種目やランを丸ごと飛ばす失格失格(変わらず)

25/26の表を読むと、ウォールボールを95回で切り上げても75秒の加算、ローイングを980mで降りても10秒で済む計算でした。ぎりぎりの勝負をしている人にとって、それは「残り5回を粘るか、時間を払って先へ行くか」を選べるということでもあります。26/27ではその選択肢が消えました。足りないまま進めば、タイムそのものが残りません。

失格の出し方も条文に書かれています。失格を判断できるのはレースディレクターだけですが、ペナルティの追加や修正は大会後48時間まで行われることがあるので、ゴールした瞬間に確定するとは限りません。

もう一つ、ランの周回不足は今回の「失格」とは別枠のままです。4周構成の会場なら1周の不足で3分、3周構成で5分、2周構成で7分、1周構成だけは失格という表は25/26から変わっていません。26/27ではこれに加えて、周回を数えるのは選手自身の責任で、会場の周回表示画面は非公式の補助にすぎない、という注意書きが足されました。

厳しくなった点と緩くなった点を1枚の表で見る

途中離脱のほかにも、細かい書き換えがいくつもあります。本番で困る場面と合わせて並べました。「→」の向きで、厳しくなったのか緩くなったのかを読み取ってください。

項目25/26 → 26/27本番で困る場面
サンドバッグを下ろす1回目15秒・2回目失格 → 下ろすたびに15秒柵や自分の足に預けて休むのも同じ違反と明記された
ローイングの休み方足は常にフットプレートの上 → 座ったままなら足を外して休める1,000mとジャッジの確認より先に立つのは不可
バーピーブロードジャンプの足両足平行、前後のずれは一切不可 → つま先の前後差5cmまで可5cmを超えるずれや、着地後の小さな足踏みは引き続き違反
スキーエルグの足足を持ち上げるのは可 → ジャンプ動作も可と明記着地が台の外の床なら違反
スタートトンネル規定なし → ウェーブ開始後に留まると1分スタート直後に様子見で立ち止まる
チョーク大会のものを指定ステーションでのみ → 自前のチョーク、ウォールボールでの粉チョークを名指しで2分ポケットに自分のチョークを入れて走る
持ち込み禁止品ヘッドホン・携帯など7品目 → 耳栓とカメラや録音機能付きのスマートグラスが追加会場の音対策で耳栓を入れたまま出る
プロ区分に出られる年齢65〜69歳まで → 80代のエイジグループまで60歳以上は世界選手権の予選がオープン区分からのみ
大会の扱い規定なし → 会場条件で「Out of Ranking」を宣言できる予選目的で出た大会が、後から予選対象外になりうる
ローイング(ローイングマシン)
ローイング(ローイングマシン)のフォームと、主に効く部位(脚(大腿四頭筋・ハムストリング)・背中(広背筋・僧帽筋)・体幹)を示した図
効く部位 脚(大腿四頭筋・ハムストリング)背中(広背筋・僧帽筋)体幹

ローイングの変更は、読み違えやすいので補足します。25/26では「競技中は常に足をフットプレートの上に置く」とされ、足を外してハンドルを操作すると1回15秒でした。26/27では、漕ぐのをやめてハンドルをホルダーに戻し、足をフットプレートに乗せても外しても休んでよい、と書き換わっています。そのかわり、1,000mを終えてジャッジが完了を確認するまでは、立つこともシートを離れることもできません。ジャッジの確認まで降りないという規定は25/26にもあったので、変わったのは休み方だけで、降りるタイミングの決まりはそのままです。

チョークは、英語圏の解説で「新ルール」として紹介されることがありますが、日本語版の25/26にも「使えるのは大会が提供するものだけ、指定ステーションの外に持ち出したり他で使ったりすると1回2分」と書かれています。26/27は、使えるのがスレッドプルとファーマーズキャリーだけであること、自前のチョークを使うと2分であること、ウォールボールで粉チョークを使うと2分であることを、ペナルティ表に項目として足しました。ルールの中身が変わったというより、言い逃れの余地を消した書き方です。

「Out of Ranking」は、濡れた人工芝や危険な路面、極端な天候など、会場や環境の条件が選手のパフォーマンスや安全に大きく影響した場合に、その大会や大会日、影響を受けた時間帯を世界選手権やエリートの予選から外せるという規定です。発表は大会の前でも最中でも後でもよい、とされています。予選の枠を狙っている人は知っておきたい一文です。

ペナルティの付き方は種目ごとに違う|最初は警告、2回目から15秒、ウォールボールは警告なし

動作基準の違反に対する基本の流れは、25/26から変わっていません。ステーション1〜7では、1つのステーションにつき警告は1回だけ。2回目の違反からは種類に関係なくそのレップが無効になり、時間が加算されます。違反が重いと判断されれば警告なしで加算されることもある、という但し書きも同じです。

ただ、実際の条文は種目ごとに少しずつ違います。26/27英語版の各種目の「PENALTY PROTOCOL」を並べると、次のようになります。

種目動作の違反そのほかの規定
スキーエルグ警告 → 15秒 → 以降15秒ずつ1,000m前に降りると失格
スレッドプッシュ警告 → 15秒 → 以降15秒ずつレーン不足は失格
スレッドプル警告 → 15秒 → 以降15秒ずつレーン不足は失格
バーピーブロードジャンプ警告 → 15秒 → 以降15秒ずつ足の前後差は5cmまで
ローイング警告 → 15秒 → 以降15秒ずつ1,000m前に降りると失格
ファーマーズキャリー周回不足は失格ケトルベルを枠に戻さない、またはハンドルが立っていないと30秒。重量違いはやり直さなければ失格
サンドバッグランジ膝が床につかない・立ち切らないは警告 → 15秒下ろすたびに15秒。戻し忘れ30秒。重量違いはやり直さなければ失格
ウォールボール警告なし。レップかノーレップか粉チョークで2分。100回未満で離れると失格
ランジ
ランジのフォームと、主に効く部位(太もも(大腿四頭筋)・お尻(大臀筋)・太もも裏)を示した図
効く部位 太もも(大腿四頭筋)お尻(大臀筋)太もも裏

ファーマーズキャリーとランジの30秒は、ROXZONEを出る前に自分で戻って直せば付きません。種目を終えた直後は器具を雑に置きがちなので、置いた瞬間にハンドルの向きを一度見る癖をつけておくと安全です。重量の取り違えは、気づいた時点で正しい重量でステーションを最初からやり直す必要があり、やり直さなければ失格になります。

ウォールボールだけ警告がないのは、無効なレップはその場で数えないという仕組みだからです。深さが足りない、的に当たっていない、といった違反はすべてノーレップになり、100回の数が増えないだけです。どこでノーレップになりやすいか、どう分割して100回を組み立てるかはHYROXウォールボール100回で扱っています。この記事で押さえておきたいのは、26/27ではその100回に届かないまま離れると失格になる点と、粉チョークが2分になる点の2つです。

ダブルス・世界選手権を狙う人にだけ関わる変更

ダブルスでは、2人が各種目のあいだの1,000mを一緒に走り、ステーションにもそろって入って、そろって出るのが原則です。片方が先に行くと1分。26/27のダブルス用ルールブックでは、この「一緒にいない」ペナルティが3回を超えるとOut Of Competitionとなり、順位が付かないと書かれています。25/26の日本語版(シングルス)のペナルティ表では「各ラン・ステーションにつき1分、最大3回で失格」でした。

英語圏の解説記事は、2人の最大間隔をROXZONEの出入りの計測で10秒に厳しくした、とも伝えています。ただし今回取得した26/27ダブルス版PDFの本文からは、10秒という数字を見つけられませんでした。大会ごとの案内で数字が示されることもあるので、ダブルスで出る人は当日の説明を必ず確認してください。スレッドプッシュでは進行方向を向く、という点も同じく解説記事にだけ見られた記述です。種目ごとの交代の仕方や、休んでいる側の規定はHYROXダブルスのルールが詳しく、ここでは変更点だけにとどめます。

項目25/26(日本語版)26/27(英語版)
ダブルスで「一緒にいない」ペナルティ1回1分、最大3回で失格1回1分、3回を超えると順位なし(Out Of Competition)
世界選手権のパートナー交代ミックスは同性・同年齢なら入れ替え可変更・交代不可(シングルス版は診断書がある場合を除く)
エリート15の予選プロ区分の最速2レースの平均タイムライセンス保持者のポイント制(シングルスはベスト5、ダブルスはベスト3)

世界選手権を狙う場合は、パートナーの扱いが変わっています。25/26の日本語版では、ダブルスミックスのメンバーが辞退したとき、同じ性別・同じ年齢の代わりのメンバーと入れ替えられました。26/27では、登録は譲渡も返金もできず、登録したパートナーは変更も交代もできないと明記されています。シングルス版にも、有効な診断書がない限りパートナーはいかなる場合も変えられない、という一文があります。予選に出る前に、本番まで一緒に行ける相手かどうかを考えておく必要があります。

エリート15の予選にも新しい条件が付きました。予選ポイントを貯められるのは、有効なHYROX Athlete Licenceを持つ選手だけです。ライセンスがなくても大会には出られますが、そのときの成績はポイントにならず、あとからライセンスを取ってさかのぼって有効にすることはできません。25/26ではプロ区分の「最速2レースの平均タイム」で判定していたのが、26/27では365日のうちシングルスはベスト5、ダブルスはベスト3のポイント制に変わっています。枠が各大会にどう配られ、承諾の期限がどう決まっているかはHYROX世界選手権2027にまとめました。

25/26の感覚のまま練習していないか|本番の前に確かめる7つの動き

ルールは読めば分かりますが、体に入っている癖は読んだだけでは変わりません。練習で自分の動きを見て確かめられる形に直しました。とくに1と4と5は、25/26の感覚のままだと、時間の加算で済んでいたはずの場面が失格に変わります。

確かめること練習での見方26/27の本番でどうなるか
1. ウォールボールで限界が来たら途中で切り上げる前提になっていないか通しの練習で最後の20回を必ず投げ切る100回未満で離れると失格
2. ランジ中にサンドバッグを膝や柵、足に預けて休んでいないか動画で肩から荷重が抜ける瞬間を探す1回ごとに15秒
3. ローイングで1,000mに届いた瞬間に立ち上がっていないか終わったら座ったまま片腕を上げるまでを1セットにする確認前に立つのは違反。1,000m前なら失格
4. スキーエルグやローイングを「ほぼ1,000m」で終えていないかモニターの表示が1,000mになるまで漕ぎ切る1mでも足りなければ失格
5. スレッドやファーマーズキャリーの本数を数え間違えやすくないか本番と同じ本数・周回を、数えながら行う1本でも1周でも足りなければ失格
6. 自分のチョークをポケットに入れて持ち歩いていないか練習からチョークはステーションで使う習慣にする1回ごとに2分
7. スタートの合図のあと、トンネル内で周りを見て立ち止まっていないか練習レースでもスタートは流れに乗って出る1分のペナルティがありうる
ウォールボール
ウォールボールのフォームと、主に効く部位(太もも(大腿四頭筋)・お尻(大臀筋)・肩(三角筋))を示した図
効く部位 太もも(大腿四頭筋)お尻(大臀筋)肩(三角筋)

1について補足すると、ウォールボールは最後の種目なので、本番でいちばん「ここでやめて楽になりたい」気持ちが強くなる場所です。25/26の計算なら、残り10回を諦めても150秒で済みました。26/27ではその10回を投げない限り、そこまでの1時間半が記録に残りません。練習の最後に疲れた状態で投げる回数を少しずつ増やしておくと、本番で「投げ切れない」可能性を減らせます。

2は、本人がやっている自覚がないことが多い違反です。ランジで苦しくなると、サンドバッグの端を太ももや膝に乗せて一瞬だけ荷重を抜く動きが出ます。26/27の条文は、床だけでなく柵、足、その他のあらゆる面に置いて荷重を抜くことを違反としています。回数の上限はなくなりましたが、そのたびに15秒付くので、3回で45秒です。

バーピー
バーピーのフォームと、主に効く部位(全身・脚・体幹・心肺)を示した図
効く部位 全身体幹心肺

バーピーブロードジャンプの5cmは緩和ですが、ゆるく跳んでいいという意味ではありません。両足同時に踏み切って同時に着地すること、着地のあとに小さく足を踏み直すシャッフルが不可であることは変わっていません。25/26の「一切のずれは不可」を気にして踏み切りが慎重になっていた人は、少し気楽に跳べるくらいに受け止めるのがちょうどいいと思います。これらの動きをどの器具でどう練習するかは、HYROXの練習メニューで種目ごとに代替の方法をまとめています。

HYROXという競技の全体像や8種目の重量、基本的なペナルティの表はHYROXとは?が担当しています。日程やチケット、会場の情報はHYROX大阪2027にあり、この記事はその大会に出る人向けのルール側の補足という位置づけです。

まとめ

  • 26/27では、8種目のどれでも途中でやめれば失格。25/26で時間の加算だったローイング・スキーの早期離脱、スレッドのレーン不足、ファーマーズキャリーの周回不足、ウォールボールの不足がすべて失格になった
  • 緩和されたのは、サンドバッグ(毎回15秒で失格なし)、ローイングの休み方、バーピーブロードジャンプの足の前後差5cm、スキーエルグのジャンプ
  • 新しく入ったのは、スタートトンネルの1分、耳栓とスマートグラスの禁止、プロ区分の年齢拡大、Out of Ranking
  • ダブルスで世界選手権を狙う場合は、登録したパートナーを変えられない。エリートの予選ポイントはライセンス取得前の成績に付かない
  • 26/27の日本語版ルールブックは確認時点で見つからず、日本語で読めるのは25/26版。大会前には、案内される最新の公式ルールブックで確かめる

ご注意: この記事の条文の比較は、2026年9月17日に取得したHYROX公式の26/27英語版ルールブック(シングルス・ダブルス)と、HYROX Japanの25/26日本語版シングルス・ルールブックにもとづいています。英語の条文は編集部の訳で、ルールブックはシーズン中にも更新されることがあります。出場する大会で配布・案内される最新のルールブックと、当日のレースブリーフィングの説明を優先してください。持病がある方やけがをしている方は、出場前に医師に相談してください。

よくある質問(FAQ)

26/27シーズンのHYROXで、いちばん大きなルール変更は何ですか?
種目を最後までやり切れなかった場合の扱いです。25/26の日本語版ルールブックでは、ローイングを980mで降りれば10秒、ウォールボールが足りなければ不足1回につき15秒といった加算で済むケースがありました。26/27の英語版では「各ステーションは完全に終えなければならず、終えられなければ失格」と書かれ、8種目すべてが対象になっています。
サンドバッグランジでサンドバッグを下ろすと失格になりますか?
26/27のルールブックでは失格ではなく、下ろすたびに15秒の加算です。25/26の日本語版では1回目が15秒、2回目で失格でした。ただし床だけでなく柵や自分の足に預けて荷重を抜く行為も同じ違反として書かれているので、休み方の工夫で逃げられるわけではありません。
26/27のルールブックに日本語版はありますか?
2026年9月17日に確認した時点では、HYROX Japanのルールブックページは英語版のPDFにリンクしており、26/27の日本語版は見つかりませんでした。日本語で読めるのは25/26版で、変更点はそこに反映されていません。出場前には、大会ごとに案内される最新のルールブックを確認してください。